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昨年5月から担当しているTさんという女性の患者さんがいます。要介護5で寝たきりなのですが、関節可動域を伸ばすことと、痛みや浮腫みの改善をしてほしいという希望から、施術を始めた方です。
始めた当初は、とにかく関節の痛みが強く、そのせいで可動域が極端に狭い状態でした。毎回体の状態が違うので、とてもデリケートな施術が求められました。3歩進んで2歩下がるどころか、振りだしに戻ったことも何度もありました。それでもTさんの凄いところは、諦めない粘り強さがあることです。どんなに辛くても施術を受け、また僕が出したリハビリの宿題をやり続けていたのです。
その甲斐あって、狭かった可動域が広がり、訪問入浴時の着替えや、排泄介助時でも、スムーズに動かせるくらいになれたのです。一番辛かった右手の指の動きが、毎日のボール運動で少しずつ良くなり、家族から「先生、見てください、母の指がこんなに開くようになりました。今日は、ヤクルトの容器を持ち、自分で口まで運べたのです。そして、何よりも爪を切る時に、痛みが無くスムーズに切ることができたので、とても嬉しくなりました。」と言ってくださったのです。
一時は肺炎などにかかったため、命の危機もありました。でも生きることを諦めず、一生懸命頑張りここまできました。最近では、声色も変わり、明確に自分の意志を伝えるようにもなってきました。僕が帰る時にも「またいらしてください、今日もありがとうございました。」と、元気に言ってくださいます。ニコッと笑顔を見せてくれることもあるほどです。
私たちの仕事は、患者さんや家族に元気と勇気と希望を与える仕事だと思います。また命の可能性を最大限に引き出すきっかけを与える仕事でもあると思います。こんなにも命の可能性を感じられる仕事ができていることに自信と誇りを持てます。一人ひとりの患者さんの可能性を伸ばすお手伝いができるよう、これからも私自身の可能力を開発し、この命を燃やしていこうと思います。
ありがとうございます。